【就活 : 業界研究】明日から使える業界分析の4つのやり方を徹底比較
当記事では、業界研究とは何かを理解して頂いた上で、実際にどのように分析を進めていくのかについて解説していきます。
就活の基盤となる『業界研究』
しかし、多くの就活生は業界の表面だけを雰囲気で感じている程度ではないでしょうか。
『企業説明会ではこんなことをいっていたな〜』
人事のそれっぽい説明でわかった気になってしまうかもしれません。
当記事では『業界研究の重要さは理解したけど、実際に何から手をつけていけばいいのか』そんな疑問を解決していきたいと思います。
前記事【就活生必見】業界分析とは をまだお読みでない方は事前に目を通していただくと当記事内容の理解が深まります!
業界研究とは?

では、今回は業界分析の具体的な手法についてみていこう!

業界研究とは?① : 概要
まずは業界研究の全体像について解説していきましょう。
業界分析を行う目的とはなんでしょうか?
大前提として、企業は利益を生み出すために存在する集団であるため、その全ての行動の根底には『利益をあげる』という目的が存在します。
つまり、『利益を生み出す』ために施策を打つ必要があり、施策を打つには念入りに戦略を立てる必要があります。
その戦略を立てるための材料が『業界研究』となるわけです。
全体的な流れを簡略化すると
- マクロ分析
↓
- ミクロ分析
↓
- 戦略目標設定
と言った流れになります。
以下では、マクロ分析とミクロ分析がどういったものなのかについて解説していきます!
業界研究とは?② : マクロ分析
マクロ分析とは文字通り広い視野での分析です。
広い視野とはつまり、全ての分析に当てはまるということ。
ここで主に用いられるものはPEST分析という手法で、P ( Political )、E ( Economical )、S (Social)、T (Technology)について分析していきます。
分析手法については次の章で具体的に解説していきます。
業界研究とは?③ : ミクロ分析
マクロ分析は全業界に当てはまるような分析でしたが、ミクロは各業界ごとの分析となります。
主な分析対象として
- 自社分析
- 競合分析
- 顧客分析
の3つをあげることができます。
その3つの対象を分析することを3C分析と呼びます。
更に個々の分析手法としては、自社分析に関してはVRIO分析、競合分析に関しては5F分析が使用され、顧客分析に関してはアンケート調査が行われます。
VRIO分析という手法では、V(Value : 経済的価値)、R(Rarity : 希少性)、I(Imitability : 模倣可能性)、O(Organization : 組織)について分析していきます。
5F分析という手法では、Five Force(競合、新規参入・代替の脅威、売り手・買い手の交渉力)について分析していきます。
具体的な手法に関しては次の章で解説していきます!
業界研究とは?④ : 戦略目標を設定
マクロ分析とミクロ分析ができたら次は戦略目標です。
ここで主に用いる手法はSWOT分析です。
SWOT分析では環境分析で集められた S (Strength : 強み)、W (Weakness : 弱み)、O (Opportunity : 機会)、T (Threat : 脅威)を元に、市場機会や事業課題を抽出します。
具体的な手法に関しては次の章で解説していきます!
業界研究の4つのやり方
やり方① : PEST分析
上で解説した通り、業界分析はマクロ分析に始まり、その手法がPEST分析となります。
PEST分析はフィリップ・コトラーによって提唱されたマクロ分析要因の分析方法です。
PESTとは
- P ( Political ) : 政治
- E ( Economical ) : 経済
- S (Social) : 社会
- T (Technology) : 技術
といった、全ての業界に影響を与えるような社会全体の要因です。
1つずつ具体的に見ていきましょう。
P ( Political ) : 政治
政治で求められる具体的な要素は
- 法律
- 政治、税制
- 圧力、裁判
といった要素を挙げることができます。
法律では金融業であれば、新規参入するに当たって金融庁に求められる基準が高い他、人材紹介業も一定の基準が必要な様に、事業を始めるに当たって様々な障壁となります。
政治であれば、国をあげて推進している事業であれば市場拡大の並みに乗ることができるでしょう。
圧力に関していえば、新規参入してきたUberに対するタクシー業界の圧力をイメージすると理解することができるのではないかと思います。
E ( Economical ) : 経済
経済で求められる具体的な要素は
- 所得
- 景気・物価
- 余剰・為替
といった要素を挙げることができます。
所得、物価の増減は国民の消費行動を左右します。
為替の上下は輸出入に大きく影響します。円高時は輸入に強いですし、円安時は輸出に強くなります。
S (Social) : 社会
社会で求められる具体的な要素は
- 人口
- 文化といった要素を挙げることができます。
といった要素を挙げることができます。
途上国の人口増加、先進国の少子高齢化はそれぞれのフェーズでそれぞれの戦略が必要です。
国ごと、地域ごとの文化がもつ価値観や固定観念を配慮した戦略が必要です。
T (Technology) : 技術
技術で求められる具体的な要素は
- 新技術・IT導入
- インフラ
- 特許
といった要素を挙げることができます。
IT技術の進歩が加速すると、今現在、今後ブームが来るであろう最新技術を考慮する必要があります。
今社会に求められているインフラとは何かを常に把握することはとても重要です。
自動運転、オンライン学習、スマートシティといったインフラ部分はしっかりと押さえておきましょう。
最後に、どんな技術を生み出しても、そこに特許があれば断念せざる終えません。
逆に言えば先に特許が取れればその市場で優位に戦うことができます。
やり方③ : 3C分析
PEST分析でマクロな部分に目を向けた後はミクロの分析です。
その時に3C分析という手法が使用されます。
3Cとは
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
の3つを指します。
以下で1つずつ具体的に解説していきます。
Customer(市場・顧客)
Customer分析での分析対象は主に
- 市場規模
- 市場成長性
- ニーズ
を挙げることができます。
市場規模が大きければ大きいほど大きな利益を見込むことができます。
その一方で今現在市場規模がそれほど大きくなくてもこれから伸びていく産業もあります。
また、市場規模に関係なく、ニーズをしっかりと捉えることができればニッチ市場で戦うこともできます。
Competitor(競合)
Competitor分析での分析対象は主に
- 市場シェア・競合
- 現状ポジション
- 参入障壁・代替可能性
を挙げることができます。
また、ここで使われる分析方法である5F分析をあとでご紹介します!
Company(自社)
Company分析での分析対象は主に
- 現状・既存事業
- ビジョン・理念
- 強み・弱み
- ヒト・モノ・カネ
- 資金力・投資能力
を挙げることができます。
また、ここで使われる分析方法であるVRIO分析をあとでご紹介します!
やり方③ : VRIO分析
3C分析の1つの要素である自社(Company)分析にはVRIO分析が用いられます。
VRIOとは
- Value(経済的価値)
- Rarity(希少性)
- Inimitability(模倣困難性)
- Organization(組織)
から構成されています。
以下で1つずつ解説していきます。
Value(経済的価値)
経済的価値とは、社会や個人に対してどれほどの価値があるのかという要素を表します。
経済的な価値が高ければそれだけ市場から求められているという判断ができ、市場での成長が見込めます。
Rarity(希少性)
希少性とは市場でのどれほど独自性があるのかという要素を表します。
希少性が高ければ高いほど、市場での競争は緩やかになりシェアの獲得が期待できます。
Inimitability(模倣困難性)
模倣困難性とは同市場の企業が自社の模倣をする難易度を表します。
模倣困難性が高ければ高いほど、模倣することが難しいため市場での競争が緩やかになり、新規参入の障壁も高くなります。
また、模倣困難性を分析する4つの要素として
- 歴史的希少性( unique historical conditions)
- ブラックボックス化( casual ambiguity )
- 社会複雑性( social complexity )
- 特許( patent )
をあげることができます。
Organization(組織)
組織では、組織を構成する要素、持つ経済資源、現状などを表します。
VRIの部分が豊かでも、それを上手く利用できる組織がなければ上手く回りません。
そこでここでは組織内部に目を向けていきます。
やり方① : ファイブフォース分析
ファイブフォース分析とはマイケルポーター氏が『競争の戦略』という著書の中で唱えた分析方法です。
ファイブフォースとは具体的に
- 業界の競合
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
を指しています。
以下で1つずつ解説していきます。
業界内の競合
ここでは同じ業界内の競合の状態を分析します。
具体的には業界内の状態が寡占状態にあるのか、または同規模なのかという内容です。
寡占状態であれば新規でのシェア獲得は困難だと判断しますし、同規模であればシェア拡大の見込みがある一方で、競争が激化する可能性を視野に入れます。
新規参入の脅威
ここでは新規参入の障壁の高低について分析をします。
VRIO分析での結果から模倣困難性が低い、もしくは希少性が低いと新規参入の障壁が下がるため脅威が増します。
新規参入が増えると市場が混雑してシェアが分散し上手く売り上げに繋がらない可能性があります。
代替品の脅威
ここでは自社商品、サービスが代替できるものなのかについて分析します。
わかりやすく言えば、『別にあなたの商品じゃなくてもいいよね』ということです。
自社商品でなくてはいけない、また自社商品に打って変わる商品の登場は脅威となります。
売り手の交渉力
売り手の交渉力とは売り手が買い手に対してどれほど強気に出れるかを分析します。
売り手が強気に出れる場合はどういった状況でしょうか?
それは売り手側が独占している時です。
具体的には買い手側がある部品を仕入れたいときに、あの企業からしか仕入れられないとなったらどうなるでしょう。
売り手側からすれば、この部品はどの企業も自分の会社から買うしかないんだから。。。
と値段をあげることができますよね。
それが売り手の交渉力です。
買い手の交渉力
買い手の交渉力とは買い手が売り手に対してどれほど強気に出れるかを分析します。
つまり、売り手の交渉力の反対。
となれば、売り手の交渉力が弱くなる場合を考えればわかるはずです。
売り手の交渉力が上がるときは独占しているとき、その逆は独占できていない時です。
買い手側から見ると『この部品はどこの企業からも買えるよな』そんな場合です。
他の企業でも同じような部品を手に入れられるのであれば『その値段ならB社に取引先を変更するよ?』と強気にでることができます。
それが買い手の交渉力です。
まとめ : 業界研究の4つのやり方を使いこなそう!
いかがでしたか?
分析をするには、まずは沢山のマクロ情報、ミクロ情報を集める必要があります。
そのため新聞を購読することは就活生にとって必須項目です。
また四季報、業界地図、企業IR情報からミクロな情報にも目を向けることも大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました!